ダブルディグリープログラム・1期生インタビュー

ダブルディグリープログラム(DD)1期生インタビュー

土屋賢太さん【ボゴール農業大学 分野:農学・フィールド系】

 

JGP環境学分野では、インターン研修派遣、短期交流学生の受入、ダブルディグリープログラム(DD)など、様々な海外提携大学との国際共同教育を実施しています。

今日は、2018年より始動している、DDプログラムについて、取り上げます。まだまだ世間一般に認知されていないプログラムですが、本学と提携大学において修士号を3年間で2つ取得する特別なプログラムになっており、環境学分野では、清華大学、マヒドン大学、ボゴール農業大学などと現在実施しています。今回、このプログラムがどういったものなのか、現在参加している学生(インドネシア・ボゴール農業大学)の生の声を通して、少しでも馴染みのある教育プログラムとして知っていただき、海外での留学、本プログラムへの参加などの参考になれば幸いです。

(以下、インタビュー)

 

Q. インドネシアでのDDプログラムに参加した経緯や、率直なこれまでの感想を聞かせてください。

A. まずはじめに、私自身旅行が好きで、これまで海外20か国以上に行きました。その中のひとつに、国際協力隊のボランティア経験があり、協力隊の隊員として、ナミビアに赴任し、干ばつ年や多雨年など、各年の降雨状況の差が激しい土地におけるリスク分散や農耕技術開発のお手伝いをさせていただきました。この隊員時代に、様々な地域で活動させていただいたのですが、もう少し農学分野の専門性を深める必要性を痛感し、本学大学院・地球環境学舎への進学を考えるようになりました。そういった中で、できるだけ国際的なフィールドで学べるプログラムを探していたときに、本プログラムのことを聞き、応募しました。

これまで、ここインドネシアで生活し勉学に励む中で、考えさせられたのは、文化の違いと自分自身の視野の狭さです。渡航前は、ニュースやメディアであふれる情報から勝手なイメージを抱いたりすることがあったのですが、「百聞は一見にしかず」とはまさにこのことで、見ると聞くとは大違い、うれしいカルチャーショックがたくさんありました。そういった自分自身の視野や考え方を改める機会にもなったことが大きいです。また、留学生として海外に赴くことで、初めて日本に来ている留学生の苦労や状況というのが、親身になって感じられることができたもの新たな発見でした。日本に帰ったら、是非、留学生たちのサポートをできればと思っています。

 

Q. ふたつの学位が取得できる、このDDプログラムについて、どのように考えていますか?

A. 修士の学位を2つ(地球環境学(京大)・農学(ボゴール農業大学))もらえるということは理解していますが、その学位の価値がどうと言うより、個人的には、修士課程の研究で、がっつりフィールドに入って、3年間、腰を据えて研究できるというメリットが大きいと捉えています。フィールド研究の分野では、やはり現地での滞在期間というのは、知見を増やす、地域の理解を深めるという点において、多い方が有利ですし、現地の人々との距離という点においてもメリットです。もちろん、2つ学位を持っていることを評価してくれるような就職先を見つけることができれば、尚良いと思います。 

 

Q.ボゴール農業大学(IPB)での学びについて教えてください。

A. IPBは、インドネシアの農業分野でNo.1の大学として知られ、69の専攻からなる幅広い農学の知見を学べる大学です。加えて、様々な新しい技術研究・開発が進められており、いろいろな品物が大学の商品として製品化・販売されており、アグリビジネスも盛んです。また研究施設・設備も充実していて、試験農場や圃場は、多種多様で、広大な面積を有しています。私が所属している研究室は、リモートセンシングを使った研究が盛んで、ジャカルタからボゴールまでの都市圏の渋滞解消に向けた都市計画や農村計画、地域産物の活用やエコツーリズムなどの研究が行われています。

普段の大学での生活は、朝8時から夕方17時の間、キャンパスで授業を受ける、あるいは、研究室で勉学に励む感じで、17時からは友人たちとサッカーをしたり、一緒にご飯を食べにいったりといった具合です。大学は17時に閉まるので、それ以降も勉強や作業をする場合は、友達の家や自分の家でやることが多いです。

 私は、フィールドでの学びを求めていたので、「インドネシア農学」という授業において、先生のガイドのもといくつかの農地を視察しながらディスカッションを行う講義が非常に楽しく、フィールドの作法も学ぶことができ非常に参考になりました。この経験は、現在の研究テーマである、地域の棚田の保全に関する研究にもつながっています。

 

Q. 言語の方はどうでしょうか?難しかった部分、伸びた部分などあれば、聞かせてください。

A. 現地語は、最初の6か月間とても苦労しました。大学内での生活については、英語がかなりできるクラスメイトの存在や、研究室の仲間がいるので、そんなに苦労しません。ただ、日常生活になると、市場のおばちゃんや散髪屋の兄ちゃんは、英語を話せないので、現地語でほしいものが何なのかを、してほしいことが何なのか、うまく伝えないといけません。最初は、言いたいことをうまく現地語で伝えることができず、もどかしい日々でしたが、滞在6か月を過ぎたくらいから、耳も慣れ、言いたいことも現地語でそれなりに言えるようになり、不自由なく暮らせるようになりました。渡航前に少しでも勉強しておけば良かったと、後になって後悔しました(笑)。

英語については、各授業のプレゼンなどはもちろん英語ですが、レポートやテストも英語なので、ライティングのスキルは、以前より上がったかな、という感覚があります。

 

Q. 今後のキャリアや将来のビジョンについて、今現在どのように考えていますか?

A. こういった国際的な学位プログラムに参加し、様々な海外の学生らと知り合い、ともに学ぶことで、今後の就職先、キャリアを考えたとき、日本あるいはインドネシアといった国にこだわることなく、世界を見渡した上で、就職なり先のキャリアを見ていこうと思うようになりました。どうなるかは、まだ分かりませんが、今のところそのように考えています。

 

Q. 最後に、海外での生活やサポートの有無が不安で、躊躇している学生にアドバイスを。

A. ここIPBでは、日本の大学に留学した経験のあるスタッフなどが、病気や緊急のときに親身になって対応してくれる体制が整っています。また、普段の生活で出会うボゴールの人々は穏やかで、素朴で、いいひとばかり、その温かさにいつも感謝を覚えます。最近は、教室での科目履修のフェーズが終わり、修論研究の前調査で、調査地にホームステイさせていただいたりしていますが、食事もおいしく、大変よくしてもらっています。また、行政機関の方々や研究室、指導教官からの手厚いサポートも受けております。時々ビールが恋しくなることもありますが、慣れました。いろいろ不安はあると思いますが、指導教官の先生と相談してみて、一度、短期間でもいいので行って様子をみるもの一案かと思います。私自身は、思い切って行ってみたことで、様々な気づきもありましたし、現地語の習得など、新たなチャレンジの機会にも遭遇し、しんどいことも当然ありましたが、今のところ来てよかったと思っています。迷っているのであれば、思い切ってチャレンジしてほしいです。

 

質問者:岡本侑樹

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